若くてフィットな女性の間で股関節痛が増加中。今からできる予防法は?

27 December 2018

若くてフィットな女性の間で股関節痛が増加中。今からできる予防法は?

ニコール・ジェファーソンは、20代後半の若さで股関節の衰えを感じていた。いつも何かが引っ掛かり、パキンという音がする。当初は腰だけだった痛みが脚の付け根から股関節へと広がり、元ランナーの彼女には余裕なはずの軽いジョギングすら耐え難い状況に。走るのをやめても、痛みは治まらなかった。「とにかく痛みを感じずに映画を観たり、長時間のドライブに出掛けたりしたかった」 とニコールは振り返る。

40~54歳の人工股関節置換術は40パーセント増加した

彼女の活発な運動歴から、医師たちはスポーツヘルニア (鼠径部の軟組織の損傷) を疑った。でも、その手術は痛みを悪化させるだけだった。MRIによって股関節唇 (関節への衝撃を和らげ、関節を安定させる股関節窩 “ソケット” 周辺の軟骨) の裂傷がやっと見つかったのは、彼女が35歳になった時。それ以前のMRI (旧型マシンを使用) では、これが発見できなかった。彼女を担当する医師は、股関節の中と周辺に重度の炎症が見られ、股関節が “燃えている” かのようだと漏らした。股関節唇と関節自体を修復する手術に続き、理学療法も受けたというニコールだけど、今でも走ると痛いそう。

彼女の経験は、決して珍しいものではない。ここ数年、現在または過去の運動に関連した股関節痛を発症する若い女性が急激に増えている。ニコールが受けた股関節鏡手術の件数は、特に若者の間で劇的に増え、45~50歳の人工股関節置換術は40パーセント増加した。


股関節手術の件数が増えている理由

ひとつには、股関節の問題 (以前は腰の怪我や鼠径部のハリとして処理されていた) を発見する医師のスキルが向上したことが挙げられる。股関節唇の裂傷と股関節形成不全は、特に見逃される確率が高い。 股関節形成不全は、股関節のソケットが狭すぎて、大腿骨のボール部分をしっかり抱え込めない遺伝性の疾患 (50歳以上の女性の股関節炎の主な要因)。

この数十年でスポーツをする女性が増えたのはいいけれど、 それが股関節を傷つけていることも、増加の原因。1980年代に入ると、ランニングが趣味としても競技としても人気を博し、1984年のオリンピックでは女子マラソンが始まった。

今から10年ほど前に、「Title IX (タイトルナイン)」 と呼ばれる米国の男女教育機会均等法案が可決されたことにより、クロスカントリー、サッカー、陸上競技といった衝撃が強く関節を曲げることの多いスポーツに参加する女性の数が急激に増加。素晴らしい傾向なのは確かだけれど、これが股関節痛の要因になっているのは否めない。

若い頃にスポーツを始めた女性に増えているのは、股関節のボール部分とソケットの間にズレが生じる股関節インピンジメントという疾患。股関節に負担がかかるスポーツをする10代の子どもには、関節内の成長板が閉じるにつれて、ソケットの中に余分な骨が作られることもしばしば。この余分な骨が、股関節唇をつまむため、そのうち裂けて、最終的には関節炎を引き起こす (大人になってもアクティブな場合は特に)。

股関節インピンジメントは男女を問わず生じやすい。でも、生物学上、あらゆる種類の股関節痛が生じやすい構造をしている女性の方が、長期にわたって痛みを感じる傾向にある。また、女性は男性に比べてお尻が大きめなので、体を支え、安定させるためには臀筋も強くなければならない。中臀筋 (お尻のてっぺんにある筋肉) は特に重要だけど、座ってばかりで鍛えていない人がほとんど。

ホルモンも股関節を弱くする。月経周期に伴うホルモンバランスの変化によって、股関節を取り巻く腱と靭帯が緩み、怪我をしやすくなるのだ。アマチュアの女性アスリートを中心に診察する米コロラド大学Hip Preservation Serviceのオマー・メイ=ダン医師が、出産中に裂けた股関節唇の修復手術が多いと言うのも、このせいかもしれない。


股関節を守るには

生物学的または遺伝的な理由や、若い頃の運動によって股関節がきしむ場合は、その痛みと一生付き合っていく必要も運動をやめる必要もない。水泳のような衝撃の少ないワークアウトは、更なる損傷を防ぎながら股関節を強くする。ヨガはバランス感覚を養うのにいいけれど、股関節周辺の筋肉を引っ張りすぎて弱くするポーズ (鳩のポーズなど) もあるので気を付けよう。


股関節形成不全の治療を受けた女性と男性の比率は20:1

理学療法士も、臀筋、体幹、股関節屈筋を観察し、股関節唇の裂傷、股関節インピンジメントの悪化、股関節形成不全につながる動きやバランスの悪さを見つけ、それを修正するエクササイズを教えてくれる。

軽いワークアウトと理学療法を6ヶ月続けても大して改善しないなら、専門家に診てもらうべき。MultiCare Auburn Medical Centerの股関節温存スペシャリスト、リニア・ウェルトン医師が言うように、股関節形成不全や股関節インピンジメントは、最終的に変形性関節症となり、人工股関節置換術が必要となる場合もあるからだ。仮に手術をすることになっても、かつては大掛かりな手術が必要だった修復作業に今ではファイバースコープが使われているので、侵襲性は最低限に抑えられるかもしれない。


股関節にオススメのワークアウト

大事なのは、股関節を支える筋肉をいたわってあげること。臀筋、ハムストリング、大腿四頭筋にフォームローラーを使ってからワークアウトを行えば、可動域が広がる。その後は、フロッグブリッジ (両足のかかとをくっつけて行うヒップブリッジ)、横向きに寝た状態でのレッグレイズ、横方向のステップアップ、レジスタンスバンドでの横歩きといったヒップエクササイズを重点的に行おう。

この記事は当初、アメリカ版ダウンロードに掲載されました。

※この記事は、UK版ダウンロードから翻訳されました。

Text:Amanda McCracken Translation:Ai Igamoto Photo:Getty Images