アシュタンガヨガ正式指導者を目指して……松永 蘭さんの挑戦

28 June 2018

アシュタンガヨガ正式指導者を目指して……松永 蘭さんの挑戦

深夜3時半。パソコン3台とスマホを用意して世界中で繰り広げられるクリック合戦を勝ち抜き、今年8月、インド・マイソールでのアシュタンガヨガ正式指導者のクラスに参加するという松永 蘭さん。日本でもまだ28人しかいないというアシュタンガヨガ正式指導者を目指して、これから最短でも6年にわたってインドに通うという。彼女をそこまで駆り立てるものとは?


打ち込んだバレエを諦め、20歳で出会ったヨガに心酔

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「子供の頃からバレリーナ以外の夢はありませんでした」。そう語る松永さんは、2歳のときから11年間、週7回バレエを続けてきたという。度々膝の怪我を経験し、高校でモナコにバレエ留学をする前の健診で、医師から告げられたのはあまりにも残酷な言葉。

「怪我をしやすい脚だから、留学したとしても3年後に故障して帰国することになると思いますが、それでも大丈夫ですか?」

同時に周囲からはバレエの指導者の道を勧められたものの、踊り手であることしか考えていなかった彼女は、バレエをすっぱりやめてしまった。

「週7回体を動かしていたので、バレエをやめたらストレスのやり場がなくて、リフレッシュもできず、自分のコントロールが大変でした。エネルギーがあり余り過ぎて、受験期でみんなは勉強していたし、私は勉強してこなかったしで、辛かったです」

その後数年はそれまでバレエ漬けだった生活の反動のように、遊びに打ち込んだ松永さんは、CAを目指して大学で国際コミュニケーションを勉強している20歳の時に、母の勧めで始めたのがヨガだった。

「クラシックバレエの時は無理して膝を怪我しましたが、ヨガは自分のペースでできるところがフィットして、週5回くらいスタジオに通っていました。ヨガを始めて3か月後には、スタジオに通わず自分でできるようになりたいと思い、RYT200の資格を取るためタイに旅立ちました」

「タイから帰国した当時、20歳のヨガ講師は珍しく、生徒さんも私より年上の方が多かったので、ヨガ講師の仕事を本格的に始めるのはもう少し後かな、とアパレルの仕事に就きました」

その後、彼女が24歳の時、勤めていたブランドが日本を撤退するタイミングでヨガ講師としてデビューした。


世界中のヨギーニたちとのクリック合戦の果てに申し込み成功!

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松永さんがタイでヨガ講師の資格を取得した時、学んだのがアシュタンガヨガ。しかし日本ではハタヨガを教えることが多く、学んだことがうろ覚えの中、自信を持ってアシュタンガヨガを教えられないことに気がついた。そこで起こしたアクションが、インドへの修行。

「アシュタンガ正式指導者の資格取得を目指して可能であれば毎年通おうかと思ってます。6年で取れる人もいれば、一生取れない人もいる資格です。アシュタンガ正式指導者は日本でもまだ28人しかいません。正式指導者の資格を取得した先生のお話によると、マイソールの指導者の元に通って、毎日プラクティスして、その先生が『君は僕のもとで勉強した弟子だと名乗ってもいい』と思うまでOKをもらえないんです。だから、いくら技ができても、マインドがちょっとおろそかだったらもらえないし、マインドがめちゃくちゃヨギーでも、プラクティスがあまりできず、動けなかったらもらえない。年に1回だけ、3か月開講日があるのですが、それがない年もあるんですね。それはその年の先生の判断によるそうです。たとえば、今年は6、7、8月ですが、去年は12月、1月、2月だったんです。大体開催の3ヶ月前くらいにサイトで発表されるのですが、いつ発表されるかもわからないので、定期的にサイトをチェックしておかないといけないんです」

「噂では、このクラスには3か月間で350人くらいが参加するそうです。世界中から集まるので、倍率が10倍! 今年は3月、4月、5月にエントリー受付があって、私は今回5月のエントリーで申し込みに成功し、8月のクラスに入れることになりました。5月1日、インド時間の12時なので、こちらの夜中3時半に応募フォームが開設されて、パスポート番号などを打ち込むんです。実は4月にもトライしたのですが入力途中で募集が締め切られてしまって、その時は泣きました(笑)。今回も入力中にサイトがダウンして一度は諦めましたが、家族のサポートもあり、奇跡的に申し込みに成功しました」 

申し込みができても、一度行くと翌年は参加できないという噂も。ほとんどの人はトータル8年ほど通い、8年のうち3回クラスに参加して、正式指導者として認められているケースが多いそう。松永さんは、「アシュタンガヨガを勉強し直したいと思っていた時にそれを聞いて、30代前半までに指導者になりたいと思ったら、今すぐ行かなきゃ!」と、修行を決意した。

「7月26日、28日、30日の3時以降にスタジオに来るようにと書いてあるのですが、住所も書いてない。マイソールへの行き方もネットで調べても出てこないし、正直不安でいっぱいです」

インドに行く前には2ヶ月、日本の有資格者の元で修行をするのも条件。そこで経験者に様々なことを教えてもらうしかないという。


3食ステーキの生活も、ヨガを始めてバランスが整った

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バレエをやめて10㎏位太って、ヨガを初めて8㎏落ちて。アパレルで仕事をしている時に5㎏位太って、と、体重の増減を繰り返してきたという松永さん。

「昔、バレエやっていた時は、お尻がぺちゃんこだったんですよ。かわいそうって言われるくらいに。でもヨガやトレーニングで筋肉をつけたり絞ったり、身体は変えられるんだっていうのが面白くて。腕立て伏せもできなかったのに、ヨガでチャトランガができるようになったし、自分には絶対に無理だと思っていたこともできるようになる。それが楽しいです」

「ヨガを始める前は、お肉が大好きすぎて毎日食べていたら、腎臓結石になりかけてしまって、お腹が痛くて歩けないほどだったんです。それ以来、朝昼晩ステーキを食べる生活は封印しました(笑)。今はほとんど自炊で肉も野菜もバランスよく食べています。ヨガのおかげで全部が調和されて心も身体も落ち着きました」

間も無く、バックパッカーのようなスタイルでインドへの修行に旅立つ松永さん。修行を終えて帰ってきた彼女に会うのが待ち遠しい!

Photo : Masato Moriyama Hari & Make-up : Yuki Ishizawa