睡眠の専門家が指南。週末の「早寝、遅起き」で、あの“睡眠負債”を解消!

06 October 2018

睡眠の専門家が指南。週末の「早寝、遅起き」で、あの“睡眠負債”を解消!

IT技術やガジェットの進歩で私たちの生活は便利になり、コミュニケーションスピードもますます速くなっている現代。さらに、仕事の速度もひと昔とは比べものにならないほど、加速中。そのため、ウイークデイはたくさんのタスクを抱え、帰宅すれば家事や育児が待っていて、自分の時間も何とか確保したい……と、起きている時間が延びる一方。こうして睡眠時間を削ることで時間を捻出している現代人の新たな問題が、“睡眠負債”。この「睡眠時間の借金」を返済するためのスマートな方法を、眠りの専門家である三橋美穂さんに伺った。

最近、よく耳にする“睡眠負債”という言葉。簡単に言うと、睡眠不足がちょっとずつでも毎日続くと、それが負債(借金)のように積み重なって、大きな問題になってしまう、ということ。

「理想とされる睡眠時間は7時間前後ですが、多くの人はそれが確保できません」と語るのは、快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さん。

「午前7時に起きるとして、7時間睡眠を取るとしたら午前0時には寝ることになります。でも仕事後に帰宅して、入浴やスキンケア、SNSチェックなどで時間を過ごしていると、あっという間に午前1時という人も少なくないはずです。

1日にすると1時間のマイナスですよね。月曜から金曜日までマイナス1時間の毎日を過ごすと、計5時間の睡眠負債が貯まることになります。1カ月にすると20時間以上も睡眠負債を抱えてしまうことになるわけです」


侮れない! 体にも心にもダメージを与える「睡眠負債」

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この睡眠負債、抱えたままでいると免疫力が低下したり、糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクも高まるといわれる。自律神経も乱れやすくなるため、体だけでなく心にも悪影響を及ぼすとも。

「睡眠が常に不足していると、疲れやすくて集中力がなくなるため、仕事に対してもやる気不足になりがちです。あらゆる意味でQOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)を低下させてしまう可能性があるのです。できるだけ睡眠負債を増やさないことが肝心ですね」

でも、そうは言っても仕事の後にジムに寄ったり、友達と食事をしたり、趣味に時間を使ったりすると、瞬く間に時間が過ぎてしまうもの。バスタイムに夜のスキンケア、SNSチェックも欠かせないとしたら、どうしたらいいもの?

「かつては理想的な睡眠のルールとして毎日同じ時間に起きて寝ること、そして早寝早起きを推奨してきました。でも忙しい今の世の中、なかなかこれを実行出来る人はいません。平日は、5時間ぐらいの睡眠負債が溜まっても仕方ないと思うのです。

睡眠負債は、週末のお休みの時間に解消するのがよいと思います。平日はマイナス睡眠でもいいので、ある程度は規則正しく眠ります。その分、週末は“早寝、遅起き”をして、マイナス分の負債を補うのが良いでしょう。昔でいうところの寝だめです。正確には寝だめではなく、寝不足を補うということです」


寝だめでも無制限はNG。「寝る時間は後ろ倒しにしない」が基本

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意外なアドバイスをしてくれた三橋さん。でも、週末だけ「早寝、遅起き」をしたら、睡眠リズムが乱れてしまいそう……。

「もちろん遅起きOKといっても、平日の起床時刻+1時間までにはいったん起きてください。このとき、太陽の光を浴びて、朝食を摂ると体内時計がリセットされます。その後、眠ければ午前中であれば、どれだけ寝ても構いません。この寝方なら、週末の朝寝坊による時差ボケ状態を防ぐことができます。

睡眠不足は一週間単位で考え、休日は少し長めに睡眠を取って、平日に蓄積した睡眠負債を返していくのがいいですね。その際のポイントは、 “寝る時間は後ろ倒しにしないこと”です。

休みの前日によくあるのが、夜更かしをして遅くまで寝ているというパターンです。これは睡眠リズムを崩します。むしろ寝る時間を早めて、起きる時間も後ろに倒す。例えば、平日に午前1時に寝て7時に起きる人であれば、休日は午前0時に寝て8時に起きれば、1時間の負債を補えます。

さらに体内時計をリセットした後に1~2時間朝寝をすれば1日につき2~3時間の負債を、2日では5時間分の負債を、体内時計を乱すことなく返済できます」

 

「早寝、遅起き」をしても、疲れが取れない場合は、睡眠負債が思った以上に蓄積している証拠。生活を見直して、睡眠時間を確保することが大事だと三橋さんは言う。寝不足を感じているなら、まずは週末の「早寝、遅起き」からトライしてみよう!

 

■お話を伺ったのは……
三橋美穂(みはし・みほ)さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て、睡眠の専門家に。睡眠関連事業のコンサルティングから、睡眠の悩みの相談、講演、執筆まで、幅広く関わる睡眠のスペシャリスト。『CDを聞いて ゆったり深~く 眠れる本』(PHP研究所)、『驚くほど眠りの質が良くなる睡眠メソッド100』(かんき出版)など著書も多数。http://sleepeace.com/

Photo:Getty Images Text:Manabi Ito